本日のお話は名作文学『だんご汁』じゃ。
わしは普段は宮仕えしておる会社の社員食堂で昼食を食っておる。その社員食堂の昼食メニューでは、毎年冬に1回だけ、だんご汁が出ることになっておる。
皆さんはだんご汁を知っておるかの?分かりやすく言えば、豚汁の中にだんごが入っているようなもんじゃ。
わしは元来豚汁が大好きじゃが、その中に入っているだんごも非常に美味く、絶妙のハーモニーを醸しておる。
毎年寒い頃になると、そろそろ出る頃じゃろうか、まだじゃろうか、とだんご汁が出るのを首を長くして心待ちに待っているんじゃ。
その日、待ちに待っただんご汁がついに出た。わしは喜び勇んで大盛りに盛り、有り難く頂いた。できればもう一杯お代わりしたいところじゃが、他の社員もいる前で、いやしいと思われないかと思うととてもそんな勇気は出ん。わしは意気地のない、臆病な人間なんじゃ。
わしは飲んでしまった後の椀をしげしげと眺めながら口の周りを拭き、誰に言うともなく言った。
「何時になつたら、これに飽ける事かのう。」
「荒馬殿は、だんご汁に飽かれた事がないさうな。」
わしの言葉が終わらないうちに、誰かの声が聞こえてきた。
三木谷楽天どのであった。
「お気の毒な事ぢやの。お望みなら、楽天がお飽かせ申さう。」
わしは、笑ふのか泣くのか、わからないような笑顔をして、楽天どの顔と、空の椀とを等分に見比べてゐた。
「おいやかな。」
「……」
「どうぢや。」
「……」
衆人の視線が、わしの上に集まつて来た。
「おいやかな?」
「いや……かたじけのうござる。」
そこでわしは楽天どのの検索ボックスに「だんご汁」と字を打って検索してみたんじゃ。
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さすが楽天どのじゃ。沢山出てくる。こんなに簡単に見つかるもんじゃったのか。これは迂闊だったわい。
どうやらだんご汁とは、大分や熊本あたりの郷土料理らしい。冬に食べると温まるので雪深い国の料理かと思っとったんじゃが、温かい南国の郷土料理だったとは意外じゃ。
しかしわしの侘び住まいには、煮込む手段がないんで料理したり鍋で煮込むわけにはいかん。せいぜい ティファールの電気ケトル で湯を沸かすことくらいしかできん。
そこでわしが選んだのは、湯を注ぐだけでできると思われる【五木食品】カップだんご汁であった。
ばら売りはしておらず、18個入りのケースで買う必要があったんじゃが、湯を注ぐだけで食べられそうなのはこれしかない。日頃世話になっておる上役にもお裾分けできると思い、これにすることにした。
「……しかと、よろしいな。」
「かたじけのうござる。」
さて、待ちに待っただんご汁が届いた。インスタントのしるこやぜんざいなどのサイズ程度の小さなものかと思っていたが、生めん式のインスタントラーメンやうどんのような大きさで、結構な大きさである。
(調理方法)
1)麺をカップにあけ、沸騰した湯を注いでフタをして1分置く。
2)軽く麺をほぐした後、お湯を捨てる。
3)沸騰した湯を注ぐ。
4)スープ・かやくを入れ、よく混ぜて食べる。
これを見て分かるように、単にお湯を入れればできるというのではなく、1度湯切りが必要なんじゃ。インスタントの焼きそばのようなもんじゃな。
さてできたものを食してみる。
インスタントであることを思えば、これはこれでいいじゃろう。
スープには味噌のだしが効いていて、味噌ラーメンならぬ味噌うどんのようじゃ。味噌ラーメンが好きなわしには味噌うどんも結構なもんである。
しかし、さすがにわしが毎年1回楽しみにしている社員食堂のだんご汁の味を再現するレベルには達してはいない。
やはり鍋で煮込まずにお湯を注ぐだけでは限界があり、簡単にはほぐれてはくれない。いくらほぐそうとしても、くっついたままの部分が残ってしまうのは仕方がないところか。カップで作ることを想定してはいるが、もし煮込む手段があるのなら煮込むのが良いじゃろう。
さらに、職場で出ただんご汁は麺にはなっておらず、文字通りの丸いだんごが入っていた。そしてだんごの他にも箸が立つくらい、色々なおかずが入っていた。
職場の古老が教えてくれた。
このだんご汁を見れば、食糧難の時代を思い出す。昔は餅が買えないので、餅の代わりに小麦粉でだんごを作って味噌汁に入れたもんじゃ。
だんごが麺に変わったのは、最近のことじゃろう。
何と我が職場の社員食堂は、古典的様式のだんご汁を今に伝えていたんじゃった。
それにしてもわしがだんご汁に飽ける日はまだまだ先のことじゃろう。
わしは今後もだんご汁に飽きたいと云ふ慾望を大事に守つて幸福に生きていこうと思う。
今度実家に帰る時は、煮込む方式のだんご汁を土産に帰ろうかのう。
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※ふざけたような書き方になりましたが、上の文章は芥川龍之介『芋粥』を下敷きにしています。この作品はなかなか難しい。今度本格的に考えてみるつもりです。